「ガチバン NEW GENERATION2」における安藤忠臣についての感想と考察
こんばんは。
前回に引き続き、ガチバンシリーズについての感想・考察をおこなっていきたいと思います。
今回、無駄に長いです。相変わらず勝手気ままな考察していますので、悪しからず^^;
今回は「ガチバン NEW GENERATION2」についてです。
前回の「ガチバン ULTRA MAX」では18歳忠臣がヤクザで生きる覚悟を決め、最後は慕っていた兄貴分の西口に向けて、銃を放つシーンで終わりました。(詳細な感想・考察:「ガチバン ULTRA MAX」における安藤忠臣についての感想と考察 - ガールズブルー)
最後のシーンでは、”忠臣が銃を放った”ということしか分からず、本当に兄貴を殺したのか、その後どうなったのかは不明のままでした。
しかし「ガチバン NEW GENERATION2」において、その後の安藤忠臣が明かされることとなります。
この「ガチバン NEW GENERATION2」は”2”との表記通り、「ガチバン NEW GENERATION」の続編です。メインの主人公は、大友斗氣雄という西川口出身の埼京線系金髪ヤンキー。ちなみにNEW GENERATIONの時点で17歳で、”喧嘩は無敵じゃないが根っからの負けず嫌い”というキャラクター設定のようです。
正直に言うと、ガチバン NEW GENERATIONの方は視聴していません。(どんだけ忠臣一筋なんだよ←)ですので、本当に忠臣メインの感想・考察となります。すみません^^;
この1と2の時間軸設定としては、期間はほとんど空いていませんね。NEW GENERATIONで騒動を起こした斗氣雄のその後の話…がNEW GENERATION2となるみたいです。ではまず簡単なあらすじから。
【あらすじ】
池袋の騒動から北戸田に逃げ帰った斗氣雄。しかし、ヤクザの世界はそう簡単に見逃してはくれなかった。馬場のしのぎを壊滅させた斗氣雄を執拗に追いかける馬場。脅され、池袋に舞い戻った斗氣雄に待っていたのは、中国人の風俗女への日本語教育。覚えの悪い女たちにヤンキー用語を教えまくる。そしてそこには昔世話になった先輩の忠臣が仕切っていた。ヤクザになった忠臣は、斗氣雄にもヤクザになれと誘うが、斗氣雄はにべもなく断る。そんな時、斗氣雄の甘さから中国女が逃げ出す事態に。落とし前をつけなければならなくなった斗氣雄に待っていたのは……。
とまあ、こんな感じなのですが。
劇中での忠臣さん初登場シーンは、「闇金ドッグス1」でも出てきた舎弟の次郎との会話から始まります。以下、会話抜粋。
「兄貴は今日も、決まってますね。その若さで、頭補佐ですもんね。いや……なかなか身内に拳銃向けられないですよ。しかも、自分の兄貴分にですもんね」
「……どうでもいい話すんじゃねえよ」
はい。この会話で「ガチバン ULTRA MAX」での最後のシーンで”忠臣は本当に兄貴を打ったのか”という疑問がはっきりしましたね。
忠臣はやはり西口を撃っていた。(ほぼ確定事項ではあったと思うのですが)その功績でしょうか、異例の若さで頭補佐という地位にまで登り詰めていました。
そこで新たな疑問が。ガチバン NEW GENERATION2はULTRA MAXから何年後の話なんでしょう。そのヒントとなるのが、斗氣雄と忠臣が出会うシーンにありました。
二人が劇中で初めて出会うシーンで、斗氣雄は忠臣の顔を見るなり、「安藤先輩は俺が中学の時の先輩なんすよ!」と興奮気味に次郎に話します。
この台詞から察するに、中学で先輩後輩という間柄だった二人。つまり、最高でも2つしか年が変わらないということになります。斗氣雄が17歳という設定なので、忠臣はこの時19歳くらいかな?
しかし、この忠臣さん。18歳の時とは様相も雰囲気もまるで変わっています。頬はこけ、無精ひげを生やし、西口に向けていたような柔らかい表情の片鱗はどこにもありません。この1~2年の間に何があればこうなるんだ……と言いたくなるほどの変わりっぷり。
斗氣雄が忠臣を見て、嬉しそうに「安藤先輩!」と呼びかけるあたり、中学時代はそれなりに仲の良い間柄だったのだと思いますが、そんな斗氣雄に対し忠臣は「立場弁えろ!」と頭を押さえつけ、牽制します。
そして、「お前の中で俺は先輩のままでも、俺の中でお前はただのゴミだ」とまで言い放つのです。そんな忠臣の態度に、驚きを隠せない様子の斗氣雄。そうだよね……。中学時代の忠臣がどんな子だったかは分かりませんが、18歳の忠臣と比べても、明らかに人が変わっちゃってますもん。そりゃ驚くよ。
と、その変わりっぷりに驚いていたら、次郎と斗氣雄の会話で、あっけなく忠臣さんの年齢発覚。「19で兄貴だぞ、無理あるだろ」って次郎の台詞。私の推測合っていました。(一生懸命考えた時間返してくれ←)
しかもここで新たな新情報。次郎の「どうやって(忠臣は)ヤクザになったんだ」という台詞に対する斗氣雄が返しが「年少入ってたから……スカウトされたんじゃないすか?」って、……え?ちょっと待って。
忠臣さん年少入ってたの!?
これ結構さ、重要情報じゃない!?あまりにも自然な会話の流れで、大事な
情報入れすぎでしょ。びっくりするよ、本当。
こうなると、いくつの時に入っていたのかという新たな疑問がでてくる訳ですが……。推測ですが、忠臣が高校を3日で中退したのは、これと関係してくるのかな?と。中学卒業後すぐであれば、当時忠臣は15歳。そこから年少に入れば罪状にもよりますが、期間的に16、7歳で出てくることになるでしょうから、何となく時間軸も合うような気がします。
にしてもホント、忠臣さんの変わりっぷりも年齢も、どうでも良くなるくらいの新情報だった。波乱万丈な人生歩んでるな、忠臣さん……。
話を戻しまして、次郎と斗氣雄の会話のシーンの続き。
次郎はビール片手に忠臣について語ります。
「俺はさ、あの人無理してると思うんだよ。無理あるだろ…いくら勲章もらったって、19で兄貴だぜ?飛び級にも程があるんだよ。俺みたいに地道にやっていかないと、出る杭は打たれるんだよ」
この台詞を聞いて、先に「闇金ドッグス」から観ていた私は心底思いましたよ。
お前が言うな。
うーん。でもまあ、物言いには腹立つけど、次郎の言いたいことはすごく分かるんですよね。多分次郎に限らず、忠臣の異例の出世に反感を持っていた人は少なからずいたと思う。
何で組長は忠臣を頭補佐にまで昇格させたんだろう。18歳という若さで自分の兄貴分を殺したから? ヤクザの縦社会がどんなものかまるで想像がつかないんですが、兄貴を殺したことが、後に武勇伝として語り継がれていたことを考えると、やはり大きい功績だったのかな。
学も後ろ盾もない忠臣が、あの若さで登り詰めた理由が、”兄貴を殺したこと”の一点に限られるのなら、異様な変わり具合も何だか納得できる気がします。
印象深いのが、風俗嬢として働かされる行く末の中国人たちと過ごすうちに、ヤクザとしての生き方に疑問を持った斗氣雄が、忠臣に詰め寄るシーン。
「結局ヤクザは、裏で弱い者から金をむしり取ってるだけじゃねえか。そのくせ男だ、義理人情だなんて、笑わせないでくださいよ」
「お前は明日死ねるか?……覚悟が違うんだよ、てめえとは。この世界じゃあな、恐怖って化け物から逃げる未熟な馬鹿は、皆死んじまうんだよ。てめえに覚悟はあんのか」
「……先輩は」
「……俺はその化け物を頭から食ってやったよ。それ食ったらよ、俺はもう昔の俺じゃなくなった」
ああ……もう忠臣さん切ない。この忠臣さんしか知らなかったら、心情的にはきっと斗氣雄に加担しただろうと思います。けれど、18歳の忠臣を知っているだけに、この台詞の重さが半端ない。この後のシーンで、それでも女を利用して金儲けするヤクザを軽蔑する、と食って掛かる斗氣雄に、忠臣が言った台詞。
「だったらお前は、あの中国女に何してやれる?」
「優しさや慰めは、あいつらにとって何の助けにもならねえ」
これが、ヤクザで生きてきた者としての、忠臣の答えなんですよね。
忠臣も恐らく、斗氣雄と同じような葛藤はあったのだと思います。しかし、忠臣が言うように”必要枠”として仕事が成立している以上、どうすることもできない現実がある訳で。まあ、それを17歳の斗氣雄に理解しろっていう方が無理な気がするけど。
こうして、忠臣に言い負かされた斗氣雄は打ちひしがれますが、追い打ちをかけるように、一番親しかった中国人女性の蝶の売り先が決まってしまいます。
隙をついて逃げ出そうとする蝶に、斗氣雄は必死に「逃がしてやってくれ」と忠臣に頼みますが、忠臣は容赦なく捕まえます。
実は、中国人の蝶は上海でも売春していて問題を起こし、日本に逃げてきて観光客相手に商売していた、という経歴を持っていました。18歳というのも、日本語が分からないというのも真っ赤な嘘。まんまと騙された斗氣雄を「バーカ。これが現実だ。人は人を助けることなんてできない。人は人を食らうんだよ」と嘲笑う忠臣。
これに発狂した斗氣雄は忠臣に殴りかかり、激しい殴り合いに。
最終的にボロボロになりながらも立ち上がった忠臣は、起き上がれない斗氣雄に向かって「地元帰れ。もうこっち来るんじゃねえ」と言い放ち、背を向けます。
ここの忠臣の声、劇中で一番優しい声色だったように思います。そして、自嘲するように僅かに口角を上げた表情が印象的でした。(僅かな動作だけど、こういう山田さんの演技本当に凄い)
忠臣はヤクザでいる他なかったんですよね。ヤクザとして生きる道しか残されていなかった。だからこそ、父親のように慕っていた兄貴を殺したし、無理していると言われながらも、必死で階段を駆け上っていった。
斗氣雄にはまだ戻れる余地がある。帰る場所がある。それを知っていたから、忠臣は斗氣雄が”こちら”側に来る前に、覆しようのない残酷な現実を教え、踏みとどまらせたのだと思います。
闇金ドッグスとガチバンシリーズを観た上で一番感じたことは、忠臣の”自主性のなさ”。
ヤクザの世界に足を踏み入れたのも、母親が履歴書を送ったから。兄貴を殺したのも、勇人の存在が引き金となったから。別に組でトップになりたかったわけでも、そもそもヤクザになりたかった訳でもなかった。
「闇金ドッグス1」でけじめとして組長の座を降りることになった時ですら、さほど取り乱さなかったのは、そもそもその座に執着していなかったからではないかと。
忠臣さんって、とてつもなく儚い存在で、ふと気を抜けば、いつ死んでもおかしくないくらいには不安定だと思うんです。かといって、自ら死を選ぶほども悲観的でもない。
そんな忠臣が無意識に求めていたのが”生きがい”。それがヤクザの世界だろうが、闇金の世界だろうが、与えられればがむしゃらになって生き抜く。
それが”安藤忠臣”という男。
「闇金ドッグス1」で兄貴が忠臣に向けて言った言葉。
「……忠臣。ヤクザはテッペン取ってなんぼなんだよ。俺はテッペン取るぞ。その時はテメエが頭だ」
兄貴を殺してからの忠臣は、この言葉を胸に突き進んだ気がします。斗氣雄に言った言葉通り、”化け物という名の恐怖”をひたすら食らい、死ぬか生きるかの狭間で僅か1、2年の間に階段を駆けのぼった。
そりゃ頬もこけるし、無理してるって言われるよね。何かに常に追い立てられるみたいで。
兄貴のあの腕時計を身に着けながら、それこそ戒めのように自分を駆り立てていたのかもしれません。どうしようもなく不器用な男ですよね。本当は縋る存在を誰よりも欲しているのは忠臣さんなのに。
忠臣さんって完全に冷酷非情になりきれる人間でもないんだよね。
闇金ドッグス見たら殊更そう思う。
ヤクザの社会でそれこそいろんな地獄を見てきて、中途半端な優しさは誰も救えないという現実を知っているからこそ、債権者に対して容赦ない所もあるけれど、一方で次郎や須藤(闇金ドッグス2以降相棒となる)に対しては、甘さも垣間見えたりして。
この辺はまた闇金ドッグス2以降の感想と考察に回すこととします。
やばい。読み返すと毎度のことながら長い。
そしてあまりにも考察が行き過ぎて、引かれないか心配になってきました(汗)
いや、もうこれは人それぞれの感じ方ですからね。仕事終わって疲れてる中、睡眠時間削ってまで書こうとするほど、魅力的な安藤忠臣が悪いんだ← = 山田裕貴さん凄すぎるって話にまたなるんだけどさ。
闇金ドッグスを初めて視聴し、はまり込んでから僅か2週間しか経っていないことに、恐ろしさすら感じます(笑)
でもいいの、毎日楽しいから←
では、今回はこの辺で。